日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
上肢慢性重症虚血に対して腋窩-尺骨動脈バイパスを施行した1例
松崎 賢司瀧上 剛松浦 弘司
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2011 年 40 巻 1 号 p. 7-9

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抄録
症例は65歳,女性.慢性心房細動あり.4~5日前から右肩から手関節にかけての痛みが出現した.近医を受診し経過観察となっていたが症状が増悪し,他院を受診した.上肢の脈拍触知不良であり急性動脈閉塞を疑われ当科を紹介された.腋窩動脈は拍動触知するが上腕以下触知せず.急性動脈閉塞を疑い,入院当日に右上腕動脈より血栓摘除を試みたが,上腕動脈内腔は白色器質化しており新鮮血栓はなく慢性閉塞の所見であった.血管拡張薬等では改善が得られず,手指のひび割れ,疼痛が強い状態であった.血管造影にて尺骨動脈がわずかに開存していたため,腋窩動脈-尺骨動脈バイパスを大伏在静脈グラフトで施行した.術後症状は改善し,造影でもバイパスの開存が確認された.急性動脈閉塞様の症状であっても慢性期急性増悪の可能性もあり注意を要する.
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