2011 年 40 巻 6 号 p. 259-264
MDCTの発達と普及により冠動脈の評価が簡便になってきており,CABG術後グラフト評価も期待されている.今回CABG術後グラフト評価についてMDCTとCAGを行い,MDCTの有用性について検討した.当院で施行したCABG症例でMDCTとCAGで比較できた63例(男51例,女12例,平均年齢66歳)を対象にグラフトの狭窄,閉塞の形態について検討した.平均バイパス数は2.8枝,使用グラフトはLITA 49本,SVG 65本であった.グラフト評価はCAGでは全例可能であったが,MDCTではアーチファクトで評価困難症例は5例あった.MDCTはCAGと比べ侵襲が少なく,術後早期評価に有用である.MDCTは,CAGで評価困難な吻合部についてVR法,MIP,MPR法で画像構築することで評価できる.特にcurved MPR法ではグラフト全体と吻合部を評価するのに有用であった.今後撮影方法や機器改良により術前後の冠動脈やグラフトの評価が高まると考えられた.