抄録
上腕静脈表在化による透析用内シャントは上肢の表在静脈が使えなくなったときの術式として行われる.黒部市民病院では過去13年間に28例の上腕静脈表在化シャントを行った.合併症としてシャント穿刺部出血2例,シャント穿刺部感染1例,シャント瘤1例を認めた.盗血症候群,静脈高血圧は認めなかった.シャント狭窄を3例に認め,カテーテル拡張術が施行された.シャント閉塞を19例に認め,2例には血栓除去術が施行された.一次開存率は1年で76.8%,4年で55.8%であった.二次開存率は1年で95.5%,4年で66.3%であった.より長く上肢の自己血管を用いてシャントを維持していくために上腕静脈表在化シャントは有用であった.