日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
遠位塞栓,下肢虚血で発症した人工血管アスペルギルス感染の1例
松崎 賢司瀧上 剛松浦 弘司
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2014 年 43 巻 1 号 p. 5-8

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抄録
症例は77歳,女性.腹部-腸骨動脈に複数回の人工血管置換手術の既往あり.左足趾色調不良となり,当科へ転科となった.術前CTで人工血管左脚内腔に周辺のhigh density areaと連続する突出像を認めた.左下肢動脈造影では脛骨腓骨動脈幹の閉塞を認めた.CRP,β-Dグルカン高値より人工血管左脚の真菌感染からの塞栓症と思われた.感染人工血管の除去は困難であり,血栓摘除を行った.術中の血栓の培養からAspergillus fumigatusが検出された.ボリコナゾール長期投与にて,β-Dグルカンは6カ月時点で正常化した.術後3カ月でボリコナゾールの投与を終了とした.術後2年経過したが感染再燃なく経過している.人工血管アスペルギルス感染では症例により血栓摘除とボリコナゾール投与でも良好な経過が期待できる.
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