日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
偶発的に診断された右冠動脈仮性動脈瘤の1例
廣本 敦之本田 二郎
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2014 年 43 巻 4 号 p. 191-194

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抄録
冠動脈仮性瘤は稀な病態であり,おもに経皮的カテーテル冠形成術や冠動脈バイパス後に生じることが報告されているほか,全身性血管炎,鈍的外傷に伴うものも報告されている.今回われわれは明らかな成因の不明な偶発的に診断された右冠動脈仮性瘤の1例を経験したので報告する.症例は60歳男性で十二指腸潰瘍出血の診断にて緊急入院となり,上部消化管内視鏡にて胃穹隆部に粘膜隆起を認めたため造影CTにて精査を行い心臓下壁の冠動脈瘤が示唆された.冠動脈造影および冠動脈CTを行ったところ右冠動脈末梢に最大横径43 mmの動脈瘤を認め,また同時に左前下行枝の90%狭窄を認め,同時手術の方針とした.手術は心停止下に瘤を切開し流入孔を確認し閉鎖,また左前下行枝へバイパスを行った.病理検査では仮性瘤として矛盾しない所見であった.明らかな成因はいまだ不明であるが,30年前に脾臓摘出を必要としたほどの外傷を受傷した既往があり,鈍的外傷に伴い形成された可能性が最も考えられた.
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