日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
重度漏斗胸に僧帽弁閉鎖不全症,狭心症,左房内腫瘍を合併した高齢,非 Marfan 症候群に対する一期的手術治験例
三原 茜水野 友裕荒井 裕国
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2014 年 43 巻 4 号 p. 200-204

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抄録

重度漏斗胸に合併した心疾患に対する心臓手術と胸郭形成術の一期的手術は,小児例や若年Marfan症候群においては報告例があるが,高齢,非Marfan症候群では非常に稀である.今回われわれは,高齢,非Marfan症例で心臓手術のさいに重度漏斗胸のため胸郭形成術を同時に行わなければならない症例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.主訴は夜間起座呼吸.重症僧帽弁閉鎖不全症による急性心不全と診断された.心エコー検査で左房内腫瘍を指摘された.冠動脈造影で左前下行枝,対角枝,高位側壁枝に有意狭窄を認めた.重度の漏斗胸のため,胸骨-脊椎間距離は1 cmと狭く,心臓は胸郭の左下方に大きく偏位し,通常の胸骨正中切開ではアプローチ不可能であったため,同時に胸郭形成術を施行することとした.心臓の変位のため心臓は拍動下での露出は困難であり,心停止下に3枝冠動脈バイパス術,僧帽弁置換術,左房内腫瘍摘出術を施行した.心臓手術終了後に胸郭形成術を施行し,手術を終了した.手術経過は良好であった.成人,非Marfan症例での心臓手術と漏斗胸に対する胸郭形成術の一期的手術は稀であり報告した.

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