抄録
二弁置換術後に大動脈-右心房交通を合併した慢性大動脈解離破裂の診断で手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は59歳男性で,57歳時に他院にて二弁置換を施行された.術後経過は良好であったが,今回,10日前より顔面浮腫および全身倦怠感が出現したため当院紹介となった.大動脈解離,大動脈-右心房交通を認めたため緊急手術を行った.大動脈解離は慢性であり,前回の大動脈切開部にentryを認めた.外膜は一部欠損し,破裂後に仮性瘤を形成し,仮性瘤から右心房内に穿孔していた.手術は穿孔部を縫合閉鎖し,型どおりに上行大動脈置換術を施行した.術後は問題なく経過し,17病日に独歩で転院となった.