日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
右肺中下葉切除症例に対して右開胸で僧帽弁形成術を施行した1例
池田 晋一郎吉田 英生柚木 継二久持 邦和
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2015 年 44 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

肺切除後症例に対する開心術は,呼吸機能低下,心臓大血管の偏移による術野確保の制限などさまざまな問題がある.今回は,2回にわたり右中下肺を切除した症例に対して,僧帽弁形成術(MVP)を施行し良好な経過が得られたので報告する.症例は,80歳,女性.肺癌のため平成2年,10年に右中下肺切除を受けた.その後再発なく経過していたが,平成21年10月頃から労作時呼吸困難が出現し当院を受診した.心エコー検査でIII度の僧帽弁閉鎖不全症(MR)が認められ,これによる心不全と診断され,心不全治療後に手術になった.縦隔は右方へ偏移し,心臓は右胸腔内に位置していたため,右開胸によるMVPを行った.酸素化をはじめとする呼吸状態は比較的良好で,術後12時間で人工呼吸器から離脱可能となった.術後エコー検査ではMRはtrivialであり,大きな合併症なく術後14日目に退院した.

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