日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
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44 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 田中 佑貴, 宮本 隆司, 吉竹 修一, 吉井 剛, 内藤 裕次
    2015 年 44 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    [背景]:近年,先天性心疾患に対する周術期管理は飛躍的に進歩し,手術成績,生命予後の向上の1つの要因となっている.[目的]:当院で周術期に行っている,①術中経食道心エコー(ITEE)の使用,②心房中隔欠損症(ASD),心室中隔欠損症(VSD),ファロー四徴症(TOF),Glenn手術,Fontan手術における手術室抜管,③ASD,VSDのクリニカルパス導入に関してそれぞれ後方視的にその有用性を検討する.[方法・結果]:2007年6月~2014年6月までの人工心肺使用(On pump)症例482例,非人工心肺使用(Off pump)症例146例を対象とした.On pump 474例,Off pump 102例を適応とし,術中経食道心エコーによる評価を行った.PICU入室直後に遺残病変を認めた症例はなかった.手術室抜管はおもに肺高血圧症(PH)のない症例を対象とし,抜管率はASD 94.7%(54/57),VSD 60.0%(69/115),TOF 50.0%(15/30),Glenn 42.5%(17/40),Fontan 45.2%(14/31)であった.ASD,VSDのクリニカルパスはPHがないもしくは軽度な症例に適応とした.クリニカルパス達成率はASDで98.2%(55/56),VSDで94.2%(65/69)であった.パス逸脱の原因は4例が炎症所見の遷延,1例が家庭の事情であった.[結語]:術中経食道心エコーは人工心肺離脱時の心機能評価,心内遺残空気の評価,遺残病変の確認に有用であった.手術室抜管は安全性を考慮していることもあり抜管率は高くなかった.再挿管の症例はなかったため手術室抜管の適応としては妥当であったと考えられる.ASD, VSDのクリニカルパス達成率は90%を超えており,パスの適応は妥当であったと考えられる.
症例報告
  • 佐々木 章史, 中野 清治
    2015 年 44 巻 1 号 p. 8-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    開心術後年数が経過した遅発性の心タンポナーデは珍しく,血腫除去を行うべきかの判断も難しい.症例は70歳,男性.大動脈弁置換術(CarbomedicsTM 27 mm)+肺静脈隔離術+右房MAZE手術+左心耳結紮術を施行した.手術より4年後に息切れと浮腫にて入院した.心エコーとCTにて心嚢内左室後面に血腫が認められ左室を圧排していた.血腫除去術を施行した.血腫を除去すると,左心耳からの出血が認められたため,出血部位の縫合止血を行った.術後のCTで左室の変形は改善され血行動態は正常化した.その後,外来経過において再発は認められていない.術後圧迫により止血されていた左心耳からの再出血が遅発性タンポナーデを起こしたと考えられた.
  • 西村 善幸, 笹山 幸治, 石井 利治
    2015 年 44 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    下腸間膜動脈瘤は,腹部内臓動脈瘤の中でも稀な疾患である.今回,われわれは閉塞性動脈硬化症(ASO)を伴う下腸間膜動脈瘤(Inferior Mesenteric Artery Aneurysm : IMAA)に対する開腹術を施行した1例を経験した.症例は74歳,男性.10年前から間欠性跛行があり,造影CTにてIMAAを伴う閉塞性動脈硬化症(右総腸骨動脈閉塞)と診断された.IMAAに対し塞栓術を考慮したが,術前CTにて上腸間膜動脈(SMA)が閉塞しており術後腸壊死を回避するため,開腹にて瘤切除後にIMAを再建した.術中にIMAと両下肢の血流,腸管の色が良好であることを確認し,閉腹した.術後3病日に食事を開始し,術後6病日に造影CTにてIMAの良好な開存を確認した.術後合併症はなく,術後16病日に退院した.
  • 西木 慎太朗, 郷田 素彦, 合田 真海, 鈴木 伸一, 磯松 幸尚, 李 相憲, 沖山 信, 岩城 秀行, 井元 清隆, 益田 宗孝
    2015 年 44 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は79歳女性.16年前に感染性心内膜炎のため機械弁(Björk-Shiley弁)による僧帽弁置換術が施行された.2013年3月,40°Cの発熱を認め,前医で人工弁感染と診断された.僧帽弁人工弁周囲逆流による高度心不全のため人工呼吸管理となり,当院に転院搬送された.来院時,WBC 15,700/µl,CRP 7.29 mg/dlと炎症反応の上昇を認めた.また,Hb 8.1 g/dlの貧血,Plt 75,000/µlの血小板減少とBUN 57 mg/dl,Cre 1.8 mg/dl,eGFR 21.5 ml/min/1.73 m2 の腎機能障害も認めた.BNP 456.7 pg/dlと高値であった.前医で採取された血液培養にて連鎖球菌が検出された.当院転院後に施行したCTで小脳梗塞を認めたが,感染と心不全のコントロールが困難であったため緊急手術を施行した.体外循環を開始し,右側左房切開で左房内に達し観察すると,巨大なvegetationが人工弁を覆うように存在した.人工弁は約三分の二周性に外れており弁輪部膿瘍を形成していたため,その部位を可及的に掻破した.欠損した弁輪部は,ウシ心膜パッチを短冊状に切ったものを連続縫合で全周性に縫着して再建し,23 mmのCEP Magna Mitral Ease Heart Valve® をintra-annular positionに縫着した.術後ABPC+GMを投与し,術後47日目にCRPが陰性化,術後56日目に退院した.今回われわれが施行した,ウシ心膜による全周性の弁輪形成は,感染のコントロールと安全な弁置換を可能にする有効な戦略の一つと考えられた.
  • 白石 修一, 高橋 昌, 渡邉 マヤ, 杉本 愛, 土田 正則
    2015 年 44 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は男児.在胎38週3日,体重2,880 gで仮死なく出生し,生直後より高度のチアノーゼを認め心エコー検査にて両大血管右室起始(DORV)と診断され同日当院NICUへ緊急搬送された.大血管関係は大動脈がやや右後方,肺動脈がやや左前方であり,心室中隔欠損は肺動脈弁下に存在するposterior TGA型DORVであった.漏斗部中隔は三尖弁側の心室漏斗部皺壁(VIF)側に挿入し,心室中隔にほぼ整列していた.手術は日齢25に胸骨正中切開・体外循環下に行った.心停止下に三尖弁経由に心室中隔欠損(secondary IVF)を閉鎖(心室内血流路作成)し,次に動脈スイッチ手術を行った.冠動脈パターンは1R2LCXのShaher 9型であり,trap-door法を用いた冠動脈移植を行った.肺動脈再建は前方転位を行わないJatene原法を行った.術後血行動態は早期から安定し,術後2日に人工呼吸器離脱,術後19日に退院した.
  • 篠原 玄, 野村 耕司, 村松 宏一
    2015 年 44 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は1歳7カ月,女児.最大径7.8 mmのKrichenko D型の動脈管開存症(patent ductus arteriosus : PDA)に対してAmplatzer duct occluder(ADO)治療を行ったが,直後の造影でデバイスの傾斜と遺残短絡を認めた.その後徐々に短絡量増加,左肺動脈入口部占拠の進行のため留置後第2病日に外科的回収術を施行した.胸骨正中切開,人工心肺を確立しPDAを剥離すると前壁にADOのretention discによる著明な突出を認めた.心停止下に主肺動脈を切開しADOはPDAに嵌頓しており直接引き抜くことは困難であった.デリバリーケーブルを介してシース内へ収納し嵌頓を解消し回収した.PDAを結紮閉鎖し手術を終了した.ADOの外科的回収の報告は少なく今回得られた知見を加えて報告する.
  • 中村 栄作, 新名 克彦, 児嶋 一司, 横田 敦子
    2015 年 44 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は37歳男性で,作業中にトラックから転落し,胸痛を訴え近医に緊急搬送された.胸部CTの結果,外傷性の心タンポナーデを認め,緊急手術のため当院に搬送された.術中所見では,心嚢内の心大血管に損傷はなく,前縦隔の出血が心膜の裂傷(心膜破裂)から流入し心タンポナーデを発症していた.胸部外傷において,心タンポナーデは,心嚢内の心大血管の損傷を示唆するが,本症例は心嚢内の心大血管に損傷を認めず前縦隔出血から心タンポナーデを発症した非常に稀な症例であると考えた.
  • 池田 晋一郎, 吉田 英生, 柚木 継二, 久持 邦和
    2015 年 44 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    肺切除後症例に対する開心術は,呼吸機能低下,心臓大血管の偏移による術野確保の制限などさまざまな問題がある.今回は,2回にわたり右中下肺を切除した症例に対して,僧帽弁形成術(MVP)を施行し良好な経過が得られたので報告する.症例は,80歳,女性.肺癌のため平成2年,10年に右中下肺切除を受けた.その後再発なく経過していたが,平成21年10月頃から労作時呼吸困難が出現し当院を受診した.心エコー検査でIII度の僧帽弁閉鎖不全症(MR)が認められ,これによる心不全と診断され,心不全治療後に手術になった.縦隔は右方へ偏移し,心臓は右胸腔内に位置していたため,右開胸によるMVPを行った.酸素化をはじめとする呼吸状態は比較的良好で,術後12時間で人工呼吸器から離脱可能となった.術後エコー検査ではMRはtrivialであり,大きな合併症なく術後14日目に退院した.
  • 相馬 裕介, 舘林 孝幸, 野地 智
    2015 年 44 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.突然の胸痛のため当院を受診した.造影CT上は明らかな大動脈解離は認めなかった.遠位弓部にPAUが存在し,弓部大動脈周囲には血腫を認めており,われわれは特発性弓部大動脈破裂と診断した.CABGの手術歴および多発性脳梗塞の既往があるため,低体温・循環停止・選択的脳還流の下での開胸手術は侵襲が大きくリスクが高いと考え,debranching TEVARを施行した.術後に小脳梗塞を発症したものの術後29日目に軽快退院した.TEVARは特発性弓部大動脈破裂の有効な治療法の一つであり,文献的考察を加えて報告する.
  • 舩橋 亮輔, 打田 俊司, 本田 賢太朗, 湯崎 充, 國本 秀樹, 西村 好晴, 岡村 吉隆
    2015 年 44 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は28歳男性,動悸,胸痛を主訴に当院救急外来を受診した.ファロー四徴症(TOF),左肺動脈閉鎖,右冠動脈起始異常,右側大動脈弓の診断でこれまでに他院で4度の手術を施行された既往がある.今回の症状に対する精査の結果,症状は右室前面の異常腫瘤による右室圧迫と,右室流出路狭窄(RVOTS)を伴う肺動脈狭窄(PS)により,右室圧が左室圧を上回ることが原因と推察され,右室前面の腫瘤切除と右室流出路再建術(RVOTR),肺動脈弁置換術(PVR)の適応となった.右室前面の腫瘤は2つ折りに使用されたePTFE心膜用シートの隙間に貯留した漿液が原因であることが判明した.明らかな原因は不明であるが,ePTFE心膜用シートと心外膜との炎症反応により2つ折りにしたePTFE心膜用シートの隙間に漿液成分が入り込み,カプセル化し緊満するに至った非常に稀な病態が推察された.このような報告は今までになく,今後の使用方法においても注意深い検討が必要と思われた.
  • 二神 大介, 小宮 達彦
    2015 年 44 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    大動脈弁閉鎖不全症における心膜パッチ形成は1963年にRossがはじめて施行して以来,リウマチや先天性の大動脈弁疾患において弁尖の置換や延長に行われている.現在,用いた自己心膜の長期の安定性や石灰化について多くの関心が寄せられている.今回,われわれは先天性心疾患手術後の若年女性に発症した大動脈弁閉鎖不全症においてウシ心膜パッチを用いた大動脈弁形成術を施行した症例を経験した.症例は29歳女性で,先天性心疾患手術後22年後に大動脈弁逆流が重症となり,しだいに心不全症状を発症した.心臓超音波検査や心臓CTにおいて右冠尖が短縮しており,重度の大動脈閉鎖不全症を認めた.妊娠希望が強く,人工物の使用をおさえるために大動脈弁形成術を選択した.報告によれば,自己心膜が異種心膜より安定性が良好であるとの報告もあるが,本症例は再手術症例で自己心膜を使用できず,グルタールアルデヒド処理を施行したウシ心膜パッチを使用した.術前必要であった内服薬の使用も必要なくなり,術後現在1年間は妊娠可能となった.長期的なパッチ形成に対する若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 森 大輔, 荒木 大, 牧野 裕, 村上 達哉
    2015 年 44 巻 1 号 p. 50-52
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.高血圧・大動脈弁閉鎖不全症で他院通院中,感冒罹患後,急激にうっ血性心不全が出現した.精査の結果,感染性心内膜炎に起因する大動脈弁逸脱による大動脈弁閉鎖不全症の悪化および左室右房交通症と診断した.4週間の抗生剤治療と心不全コントロールの後,待機的に手術を行った.左室右房交通症は弁上型であった.交通孔パッチ閉鎖術および大動脈弁置換術を施行した.パッチは心臓伝導系を傷害しないように縫合した.術直後から洞調律が維持されブロックの出現も認めず,順調な術後経過をたどった.交通孔の大きさ,位置により閉鎖方法を術前に十分に検討しなければならないと考えられた.
  • 荒瀬 裕己, 森本 喜久, 杉本 貴樹
    2015 年 44 巻 1 号 p. 53-55
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    [目的]鈍的外傷に伴う大動脈損傷は,その発症起点から他の合併症を伴うことも多く,スムーズで適切な治療戦略が重要となる.当院で経験した鈍的大動脈損傷の救命例をもとに診断・手術時期・術式の妥当性につき検討した.[対象]2006年1月からの8年間に当院で経験した鈍的大動脈損傷の救命例5例を対象とした.男性3例,女性2例,年齢は57~70歳(平均64.2歳),Injury Severity Score(ISS)は13~25(平均17.2)であった.[治療]当院の治療方針は,まず初期治療を行いバイタルの安定化に努め,同時に診断を進める.バイタルの安定化を得られない場合は緊急手術となるが,得られた場合はダメージコントロール後の待機的手術としている.5例中3例は大動脈からの明らかな出血が認められたため救命のための緊急手術を行い,うち2例は解剖学的適応からステントグラフトを用いた.他の2例は初期診断で肋骨骨折片による胸部下行大動脈損傷,腰椎骨折片による腹部大動脈損傷が示唆されたが,初期治療でバイタルの安定が得られたため,ダメージコントールを行った後,ADL向上に先立ち待機的に骨折片除去と大動脈損傷部修復手術を行った.[結果]全例合併症なく経過し,術後9~32日(平均18日)で退院した.[結語]鈍的大動脈損傷はきわめて致命率の高い疾患であるが,緊急ステントグラフト術やダメージコントロールからの待機手術を選択する等,迅速な診断の基に病態に応じた治療を行うことが,成績向上に寄与すると考えられた.
  • 焼田 康紀, 茂木 健司, 松浦 馨, 櫻井 学, 小笠原 尚志, 高原 善治
    2015 年 44 巻 1 号 p. 56-58
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.9年前にStanford A型急性大動脈解離に対して当院で上行弓部大動脈置換術を受け,外来通院中であった.半年前から胸部違和感,4日前に胸痛を自覚し,胸痛の増強,動悸,冷感を主訴に当院救急外来を受診した.胸骨右縁で連続性雑音を聴取し,造影CTで大動脈基部に最大径60 mmの仮性動脈瘤を認めた.心臓超音波検査で動脈瘤と右房に交通を認めた.緊急手術を施行し,大動脈右房瘻閉鎖,上行大動脈人工血管再置換術を施行した.術後経過は良好で,第14病日に独歩退院した.大動脈基部仮性瘤が右房に穿破した稀な症例を経験したので報告する.
  • 古野 哲慎, 植田 知宏, 大石 恭久, 山木 悠太, 今坂 堅一, 田山 栄基, 富田 幸裕
    2015 年 44 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル フリー
    ステントグラフト内挿術後にアナフィラクトイド紫斑と思われる病態を呈した症例を経験したので報告する.症例は79歳男性.遠位弓部大動脈嚢状瘤に対してステントグラフト内挿術を施行した.術後3日目に腹部から下腿にかけて紫斑が出現した.また同時期より発熱を間歇的に認めた(最大38.8°C).血液検査ではCRPが12 mg/dlまで上昇し,その後も4 mg/dl前後で推移した.皮膚科でアナフィラクトイド紫斑の診断となり,ステロイド外用,およびアドナ,トランサミンの内服を開始し,紫斑は徐々に改善した.炎症反応の上昇は,経過とともに徐々に改善した.悪性疾患の可能性も疑い精査を施行したが,熱源および紫斑の原因となる疾患の同定には至らなかった.現在も外来にて経過観察中であるが,紫斑の再燃など問題となる所見は認めていない.アナフィラクトイド紫斑の好発年齢は学童期でその発症誘引のほとんどは上気道炎である.時に成人発症することもあるが,その場合の病因として外科的侵襲,上気道以外の感染症,薬剤,慢性肺,肝,腎疾患,悪性腫瘍などの報告がある.本症例ではステントグラフト内挿術という外科的侵襲が原因となったと考えられた.また,アナフィラクトイド紫斑は関節病変,消化器病変,腎病変などの合併が問題となるが,本症例では認めなかった.
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