2015 年 44 巻 3 号 p. 173-176
症例は65歳,女性.突然の胸痛の後,左片麻痺と構音障害が出現し,当院へ救急搬送され,Stanford A型の急性大動脈解離に伴う,脳梗塞と診断された.このときに施行した造影CT検査で,右鎖骨下動脈起始異常およびKommerell憩室を認めた.大動脈解離に対しては,偽腔は血栓閉塞しており,保存的に治療された.経過中,上行大動脈のulcer-like projection(ULP)の拡大を認めたため,手術適応と判断した.手術は一期的に,上行-弓部置換,Kommerell憩室パッチ閉鎖および右鎖骨下動脈再建術を行い,良好な結果を得たので報告する.