日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
稀な飛来性心内異物の1手術例
児嶋 一司早瀬 崇洋新名 克彦横田 敦子中村 栄作中村 都英
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キーワード: 心内異物, , 手術, 胸部CT
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2015 年 44 巻 3 号 p. 177-180

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抄録

本邦における心内異物はほとんどが人為的,医原性であり,飛来性の異物によるものは稀である.今回われわれは,手術により摘出し救命し得た飛来性心内異物の症例を経験した.[症例]27歳男性.エア釘打ち機を使って作業をしていたところ,釘が弾かれ破片が頸部に当たって受傷した.同日近医を受診したが異常は指摘されなかった.2カ月後胸部X線写真で心陰影に重なる異常陰影を指摘された.CT検査上右室内に釘のような異物影を認めた.明確な受傷機転は不明であったが,2カ月前の外傷に関連した飛来性心内異物と診断し,緊急手術を行った.人工心肺補助下に,経右房的に右室から異物を摘出した.[考察および結語]本症例は屋外での受傷であり,感染性心内膜炎,敗血症の合併などが懸念されたが,治療が奏功し術後経過は良好であった.破片が高速で飛散し受傷した外傷では,体内への異物侵入,心内異物の可能性も考慮に入れ,可能な限り全身,特に胸腹部の検索を行っておくべきであると考えられた.

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