2015 年 44 巻 4 号 p. 228-231
弓部の破裂性胸部大動脈瘤(rTAA)に対して,緊急でchimney techniqueを用いた胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)を行い救命し得た症例を経験したので報告する.症例は73歳の女性,最大短径51 mmの遠位弓部瘤を外来で経過観察していたが,突然の胸背部痛で救急搬送された.来院時はショック状態で,造影CTで弓部大動脈瘤の縦隔内穿破を認めた.緊急で腕頭動脈と左総頸動脈にchimneyステントグラフト(SG)を留置し,TEVARを行った.縦隔穿破はSGでsealされたが,第3病日に撮影したCTでtype 1aエンドリーク(EL)を認めた.Gutter ELと判断し,第10病日に左上腕動脈から左鎖骨下動脈経路で瘤内にアプローチして,瘤内をコイル塞栓した.第13病日のCTでELの消失を確認し,第18病日に軽快退院した.