抄録
Von Willebrand病を合併した患者に対し大動脈弁置換術(AVR)を施行した.症例は30歳男性で,13歳時に軽度の大動脈弁閉鎖不全症(AR)を指摘されていた.当時施行した心臓カテーテル検査の際に出血傾向を認め,von Willebrand病と診断された.今回AR IV度と増悪がみられたため,手術の方針とした.手術は通常どおり体外循環下に,機械弁を用いたAVRを施行した.術前検査で第VIII因子活性の低下を認めたため,術前より凝固因子補充療法を開始し,周術期に異常出血を認めなかった.他家血輸血を必要とせず,順調な経過を得た.