日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
僧帽弁手術後の溶血性貧血に対する再手術症例の検討
黒田 悠規南方 謙二山崎 和裕阪口 仁寿平尾 慎吾瀧本 真也坂本 和久中田 朋宏池田 義坂田 隆造
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2016 年 45 巻 2 号 p. 67-72

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抄録
[目的]僧帽弁手術後に生じる溶血性貧血症例の発症原因,発症時期および術後経過について検討した.[対象と方法]2009年から2014年に施行した僧帽弁手術後に生じた溶血性貧血に対する再手術症例11例を対象とした.平均年齢は72.2±6.8歳,男性5例であった.[結果]術前の僧帽弁逆流は8例が中程度以下で,平均LDH 2,454±415 IU/lであった.溶血の原因として8例は僧帽弁置換術(MVR)後の弁輪周囲逆流(PVL),2例は僧帽弁形成術(MVP)後の遺残逆流,1例は生体弁MVR後の構造的劣化であった.MVR後の溶血性貧血に対しては全例で再MVRを施行した.MVP後の2例のうち,1例はMVR,1例は再MVPを施行した.MVR後の弁輪周囲逆流の原因としては8例全例で縫合糸による弁尖・弁輪部の組織切れを認め,MVP後の溶血性貧血は遺残逆流のジェットが内膜で覆われていない人工弁輪に当たることによって生じたと考えられた.前回手術から溶血までの期間はMVR後のPVL症例で14.1±9.4年,MVR後の生体弁の構造的劣化例で8年,MVP後の2例で2.0±1.9年であった.11例中10例で溶血性貧血の治癒を認めた.遠隔死亡は3例あり,うち1例が心臓関連死(肺炎による心不全増悪)であった.また,PVLによる溶血性貧血の再発を1例に認め,再々手術を要した.[結論]僧帽弁手術後の溶血性貧血は稀であるが,逆流の程度が軽度であっても重篤な溶血性貧血をきたすことがあり,術後遠隔期においても慎重な経過観察が必要である.
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