日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
冠動脈左前下行枝 just proximal に形成した巨大冠動脈瘤の手術に内胸動脈パッチ閉鎖と左前下行枝へのバイパスを行った1例
鈴木 正人野村 文一大川 洋平安達 昭藤田 きしゅう大野 猛三
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2016 年 45 巻 3 号 p. 115-120

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抄録
症例は52歳,男性.発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションの治療前に行った冠動脈CTにて,左前下行枝本幹の中枢側に冠動脈瘤と瘤流出部に高度狭窄,および冠動脈肺動脈瘻を認めた.手術は心停止下で,瘻血管の結紮,肺動脈内腔からの瘻血管流入口の閉鎖,瘤切除,左内胸動脈を用いた左前下行枝へのバイパスを行う方針としたが,術中所見にて左前下行枝分岐部から瘤までの距離が非常に短く,結紮や単純閉鎖した場合に回旋枝の狭窄を来す恐れがあると判断した.左前下行枝分岐部を内胸動脈パッチにて閉鎖し回旋枝の狭窄を回避,さらに左内胸動脈-左前下行枝バイパスを追加した.冠動脈肺動脈瘻において瘻血管に形成した巨大な瘤を治療した症例は報告されているが,本症例のように冠動脈本幹に形成した巨大冠動脈瘤に冠動脈肺動脈瘻を合併した症例は稀である.
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