[背景]B型急性大動脈解離に対し,早期にTEVARによるentry閉鎖を行うことで遠隔期予後が改善するという報告がある.[対象]2008年12月~2015年4月に当科でB型大動脈解離に対しTEVARを施行した46例を対象とした.平均年齢は66.4歳,男性38例であった.手術時期は,発症3カ月以内;15例(A群),発症3カ月~1年;10例(B群),発症1年以降;21例(C群)であった.[結果]全例手技は成功し,術中および術後早期の内膜損傷はなく,手術死亡,病院死亡ともになく全例軽快退院した.ULP消失または胸部偽腔の血栓化率は,A群14例(93%),B群5例(50%),C群9例(43%)と有意にA群が高かった(
p<0.05).また,術後半年目で5 mm以上の大動脈径の縮小が得られたのは,A群13例(87%),B群7例(70%),C群4例(19%)とC群で有意に低かった(
p<0.05).中期成績としては,C群の3例が大動脈径の拡大を来たし,うち1例は胸腹部置換を行った.[結論]本検討では,特に発症3カ月以内にTEVARを施行した症例でULP消失または胸部偽腔の血栓化率,大動脈径の縮小率がともに高く,逆に1年以上経過した症例では有意に低いことから,大動脈径が拡大傾向にあるB型大動脈解離症例にはTEVARによる早期の治療介入が有効であると考えられた.
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