日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
僧帽弁閉鎖不全症,心房細動を呈した成人三心房心の1手術例
伊藤 校輝畠山 正治河原井 駿一永谷 公一
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2016 年 45 巻 5 号 p. 218-222

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抄録

三心房心は心房内に形成された異常隔壁により形態的三心房をきたす比較的稀な先天性心疾患の1つである.副房と左房との交通孔が保たれている場合には成人期まで無症状で経過することがあるが,成人例の報告は稀である.僧帽弁閉鎖不全症および心房細動を呈し,心不全を発症した成人三心房心の1手術例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は65歳,女性.うっ血性心不全を呈し,精査にて中等度僧帽弁閉鎖不全症および左房性三心房心の診断となった.保存的加療を継続されたが再度心不全を発症し,僧帽弁閉鎖不全症および三尖弁閉鎖不全症の進行を認めたため,手術目的に紹介となった.肺静脈はすべて副房へ還流し,異常隔壁の交通孔は1つで,径3 cm程度と比較的大きかった.異常隔壁切除,僧帽弁形成術(Physio ring II 28 mm, cleft closure, edge to edge repair for PMC),三尖弁輪形成術(Physio tricuspid ring 28 mm)およびmaze手術を施行した.術後は僧帽弁逆流および三尖弁逆流は消失し,洞復帰を得られた.

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