日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
三尖弁位 On-X® 弁の血栓弁に対して t-PA による血栓溶解療法が有効であった1例
青山 孝信藤井 弘通瀬尾 浩之賀来 大輔笹子 佳門
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2016 年 45 巻 5 号 p. 233-237

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抄録

症例は41歳男性.6年前に感染性心内膜炎,僧帽弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症に対してMVR(On-X 27/29 mm),TVR(On-X 31/33 mm)を施行した.術後に大動脈弁閉鎖不全症,憎帽弁位人工弁周囲逆流,心室中隔穿孔を認め,術後40日にAVR(On-X 25 mm),憎帽弁位人工弁周囲逆流部パッチ閉鎖,心室中隔穿孔部閉鎖,再TVR(On-X 31/33 mm)を施行した.以後,外来でPT-INR 2.0~2.5を目標にワルファリンコントロールしていた.術後3年半後の心エコー検査にて三尖弁位の平均圧較差の増大(14 mmHg)と人工弁透視検査にて三尖弁位人工弁の半閉鎖位での固定を認めたため人工弁機能不全と診断した.原因として血栓またはパンヌス形成を疑った.まずt-PA(monteplase 160万単位)による血栓溶解療法を行った.血栓溶解療法後5日の心エコー検査にて三尖弁位の平均圧較差の改善(4 mmHg)と人工弁透視検査にて三尖弁位人工弁の可動性の改善を認め,血栓弁であったと確定診断した.出血や塞栓症などの合併症も認めず,血栓弁に対する血栓溶解療法は有用であった.

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