2016 年 45 巻 6 号 p. 259-261
症例は57歳の女性.就学前より心雑音を指摘され,ファロー四徴症(TOF)と診断された.30代より他院外来で手術を勧められたが拒否していた.経過中に心房細動が出現し,心不全の増悪による入退院を繰り返すため,当院紹介となった.精査の結果,外科的治療の方針となり,内科的治療により心不全コントロールを行った後に手術を施行した.術式は心室中隔欠損パッチ閉鎖術,肺動脈弁置換術(Epic生体弁23 mm),右室流出路形成術,Maze手術を施行した.術後右室圧は左室圧の4割程度に改善した.術翌日に人工呼吸器より離脱し,術後約1カ月で自宅退院となった.成人期のファロー四徴症に対し根治術を施行し,良好な結果を得たので報告する.