日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
MRSA 人工血管感染に対してウシ心膜ロールで上行大動脈再置換術を行った1例
林田 好生森重 徳継大住 真敬藤井 満
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2017 年 46 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

症例は65歳の男性,急性大動脈解離(Stanford A)の診断で,上行大動脈人工血管置換術を施行された.術後9カ月目で胸部創からの排膿を認め,当院に転院となった.胸部CTでは人工血管周囲に液体貯留を認め,血液培養検査ではMRSAが検出され,胸部人工血管感染と診断した.胸骨を一部開放し人工血管を露出させた状態で,半年にわたり,0.04% gentian violet生理食塩水による洗浄と抗生剤静脈内投与を行ったが治癒しなかった.根治的治療が必要と考え,初回手術から1年7カ月後に自作ウシ心膜ロールグラフトによる再上行大動脈置換術,大網充填術を行った.手術後は発熱なく,炎症反応も低下し胸部CTでも感染の再燃を認めなかった.抗生剤は静脈内投与で術後1カ月使用し,内服に変更した.術後37日目に転院し,感染の再燃を認めずに良好に経過していた.しかし,術後8カ月で転倒による頭部打撲後に急性硬膜下血腫を発症し,死亡した.自作ウシ心膜ロールグラフトによる大動脈再建は感染の再発を認めず,人工血管感染症例に有効である可能性が示唆された.ホモグラフトが入手困難である点を考慮すると,自作ウシ心膜ロールグラフトは人工血管感染治療において有効な選択肢となりうる.

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