日本心臓血管外科学会雑誌
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[末梢血管]
異時性に閉塞した両側遺残坐骨動脈に両側大腿膝窩動脈バイパスを行った1例
畑中 憲行上田 高士石川 成津矢嶋田 直洋
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2017 年 46 巻 1 号 p. 54-56

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抄録

症例は65歳,男性.100 m程度の歩行で右間欠性跛行を生じ,当科紹介となった.造影CT所見で,両側内腸骨動脈から遺残坐骨動脈が起始し,直接膝窩動脈に交通しており,右遺残坐骨動脈は坐骨孔レベルから膝窩部まで閉塞していた.浅大腿動脈は,膝窩動脈に直接連続していないため,完全型と判断した.以上より,完全型右遺残坐骨動脈の慢性閉塞による右下肢虚血と診断した.右浅大腿動脈は低形成であったが,深大腿動脈は発達していた.右総大腿動脈径は十分に太く,inflowとして用いることが可能と判断した.人工血管を用いた右総大腿動脈-膝上膝窩動脈バイパス術を施行した.術後,間欠性跛行は消失し,右Ankle branchial index(ABI)は0.79から1.06に改善した.術後10カ月目,左遺残坐骨動脈慢性閉塞をきたし手術治療となった.遺残坐骨動脈症例は無症状でも,慎重な経過観察が必要であると考えられた.

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