2017 年 46 巻 1 号 p. 57-61
症例は23歳女性で,右総腸骨動脈塞栓を伴う感染性心内膜炎に対してFogartyカテーテルによる経大腿動脈塞栓除去術および僧帽弁置換術が行われた.術後9日目のCT検査で右内腸骨動脈閉塞が認められ,塞栓除去術の際に右総腸骨動脈の塞栓子の一部が右内腸骨動脈へ迷入したことが原因と考えられた.その後,人工弁周囲逆流が生じたため,術後16日目に再僧帽弁置換術が行われた.さらに右内腸骨動脈塞栓の診断後約2週の経過で塞栓部に動脈瘤を形成した.最終的に動脈瘤切除術を必要としたが術後経過は良好であった.本症例はseptic embolismから感染性動脈瘤に至る過程を画像診断でとらえた稀な症例と思われた.また,感染性心内膜炎におけるseptic embolismに対して,Fogartyカテーテルを用いた塞栓除去術を行う際には,分枝への塞栓子迷入に注意が必要である.