2017 年 46 巻 2 号 p. 79-83
連鎖球菌による敗血症に成人期発症の急性リウマチ熱による弁破壊を合併し弁置換術を施行した1例を報告する.症例は32歳男性.両手関節痛で他院を受診し非ステロイド性抗炎症薬で経過観察されていたが,症状が続き血尿と感染徴候を呈した.その後しだいに呼吸困難を呈し当院救急科に紹介となった.急性心不全,急性腎不全および呼吸不全を呈し血液培養では連鎖球菌陽性であり,心エコー検査で大動脈弁と僧帽弁に疣贅と重度の逆流を認め,連鎖球菌による感染性心内膜炎の診断で手術適応と判断された.CTで大動脈基部は55 mmと拡大していた.手術では,大動脈弁と僧帽弁は大きく破壊されており,大動脈基部置換術と僧帽弁置換術を施行した.術前は感染性心内膜炎を疑ったが,病理所見は活動性リウマチ熱に特有の心内膜炎のため弁破壊が進んだ所見であり,弁周囲に明らかな菌塊は認められなかった.成人期に連鎖球菌感染症に加え急性リウマチ熱による弁破壊が進み,大動脈基部置換術および僧帽弁置換術を行った稀な症例を経験した.