2017 年 46 巻 2 号 p. 84-89
心室中隔穿孔(VSP)に対し右室切開によるextended sandwich patch法を行った2例を報告する.症例1は82歳女性で,術前冠動脈造影では第1中隔枝分岐より中枢側で左前下行枝閉塞が認められた.術中所見では前壁梗塞は比較的広範であり,その一部は自由壁破裂が疑われる所見を呈していた.症例2は85歳女性で,数本の中隔枝および第1対角枝分岐より末梢側で左前下行枝閉塞が認められた.ともに高齢で心原性ショックのため緊急手術となったが術後経過は良好であった.しかし,症例1では術後早期より左室前壁の梗塞部伸展と菲薄化が明らかとなり,さらに左室収縮能低下とtetheringによる僧帽弁逆流が認められるようになった.本法は貫璧性運針による確実な穿孔部閉鎖に加えて,心筋梗塞後の左室機能や形態の保持が期待できる.したがって,前壁梗塞が広範に及ぶ場合でも術後低拍出量症候群の回避につながる可能性がある.しかし,同時に本法は梗塞後左室リモデリングを許容しうるため遠隔期にわたる経過観察が必要である.