症例は46歳の男性で,幼少時より心室中隔欠損症(VSD)を指摘されていた.発熱,全身倦怠感を主訴に入院,心エコー検査で,大動脈弁,僧帽弁,肺動脈弁にそれぞれ10 mm以上の可動性を有する疣贅を認め,高度僧帽弁閉鎖不全症,中等度大動脈弁閉鎖不全症および肺動脈弁閉鎖不全症を認めた.緊急手術にて,大動脈弁置換術,僧帽弁置換術,VSD閉鎖術,グルタールアルデヒド処理自己心膜による肺動脈弁形成術を施行した.感染性心内膜炎は通常1つの弁に感染巣を形成する場合が多く,3弁以上に感染が波及することは比較的稀である.また3弁に及ぶ感染性心内膜炎で,大動脈弁,僧帽弁,肺動脈弁に感染をきたすものは少ない.また両心系に及ぶ感染性心内膜炎は心内シャントを有する先天性疾患患者に多く,本症例でもsubarterial-infundibular型心室中隔欠損症があり,欠損孔を通じて感染の拡大が考えられた.早期の外科的介入が感染と心不全コントロールに有用であった.