2017 年 46 巻 6 号 p. 273-276
症例は5歳男児,単心室症に対して段階的手術後,Fontan型手術待機中だった.3歳時に施行したtotal cavopulmonary shunt手術後から漏斗胸が出現し,胸骨陥凹が進行した.CTでは陥凹部の背側に,Fontan型(hepatic inclusion)手術で吻合する肝静脈を認め,漏斗胸によるFontan pathwayの圧迫が危惧されたため,Nuss法による漏斗胸手術を併施した.人工心肺下で肝静脈と肺動脈を16mmの人工血管で吻合し,人工心肺離脱後に漏斗胸手術を行った.両側胸腔の癒着を認めたが,直視下で剥離を行うことで臓器損傷なく手術を終了した.術後CTで,胸郭矯正により余裕のあるFontan pathwayが確保されていることが確認できた.Fontan型手術とNuss法による漏斗胸矯正術の報告は少ないが,本法は長期のFontan循環改善のために有用な方法と考えられ,報告する.