ムコリピドーシスは,ムコ多糖症に類似した臨床的特徴を示す常染色体劣性遺伝のライソゾーム病である.糖蛋白の蓄積により全身の結合織を中心にさまざまな病変が進行する.心血管病変,特に弁膜症病変が重要な予後因子とされるが,その自然予後は短く,本邦においては明確な治療ガイドラインや手術適応は存在しない.われわれは,12歳および15歳時に,大動脈弁逆流の進行に対して大動脈弁置換術を施行したムコリピドーシスIII型の兄妹例を経験した.また,兄は初回手術より11年で,パンヌス形成による人工弁機能不全をきたし,人工弁再置換術を要した.ムコ多糖症の弁膜症に対する手術報告は散見されるが,大動脈弁置換術を施行したムコリピドーシスの兄妹例は稀である.