日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
Bacteroides fragilis による感染性胸部大動脈瘤に対してメトロニダゾール投与中に発症した脳症の1例
高木 大地角浜 孝行山浦 玄武田中 郁信桐生 健太郎板垣 吉典山崎 友也山本 浩史嵯峨 知生廣川 誠
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2018 年 47 巻 3 号 p. 142-147

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抄録

症例は77歳男性.発熱,背部痛を主訴に受診.CT検査で遠位弓部大動脈の急速拡大(最大径49 mm)と血液培養からBacteroides fragilisが検出され,感染性動脈瘤と診断した.抗生剤(meropenem : MEPM)に良好に反応したことや,frailtyを認めたことなどから,準緊急的にTEVARを施行した.炎症反応が陰性化して退院となったが,2週後に感染の再燃を認めて再入院した.6週間のMEPM投与後,Metronidazole(MNZ)内服を開始した.退院となったが,ふらつき・構音障害が出現し,内服開始約7週間後に再入院となった.MRIで小脳歯状核の病変を認め,Metronidazole誘発性脳症と診断.抗生剤をAmoxicillin/Clavulanateに変更したところ,約2週間程度で脳症の改善を得た.その後1年間,感染の再燃は認めていない.B. fragilisを起炎菌とした感染性大動脈瘤に対してステントグラフト治療を行った.感染再燃を認めたが,MNZを含む抗菌薬の使用により,再度コントロールすることができた.一方で,MNZは脳症を引き起こすことがあり,使用にあたっては十分な注意が必要である.

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