日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
食道癌術後に発症した Stanford A 型急性大動脈解離の1例
内山 博貴伊藤 寿朗渡邊 俊貴安田 尚美仲澤 順二黒田 陽介原田 亮川原田 修義
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2018 年 47 巻 4 号 p. 192-195

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抄録

症例は76歳,男性.6年前に他院で食道癌に対して食道全摘術および胃管による胸骨後再建を施行されている.意識障害で当院に救急搬送され,造影CTにてStanford A型急性大動脈解離の診断で緊急手術となった.本症例は,術前造影CTで胃管が胸骨柄の裏面を通り,胸骨体では胸骨裏の右側に沿って走行していたため,胸骨の裏面を胃管が横切る上部では,あらかじめ左肋間から胸骨裏に指を挿入して,胃管がないことを確認しながら胸骨左側を切開した.前縦隔には胃管の他にそれに付随する大網と考えられる組織が心膜前面を覆っていたため,心臓右面がやや視野不良であったが,再建胃管の損傷も認めず,上行弓部大動脈人工血管置換術を施行した.術後は胃管の通過障害などの消化器症状や縦隔炎は認めず,術後24日目に自宅退院となった.食道癌術後患者の胸骨正中切開による心臓血管手術の報告は少なく,特に急性大動脈解離に対する胸骨正中切開の報告は2例のみであり,今回本症例を報告する.

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