2019 年 48 巻 2 号 p. 111-114
右冠動脈肺動脈起始症は稀な先天性心疾患であり無症状で偶然発見されることが多い.心停止を引き起こした報告もあるため発見時には手術介入が推奨されている.今回,労作時胸痛を主訴とする70歳男性に精査を行ったところ同疾患と診断された.経過観察中に症状が悪化し,同時に指摘されていた大動脈弁狭窄症も進行したため,右冠動脈の大動脈への植え替えおよび大動脈弁置換術が施行され,その術後経過は良好であった.術後外来受診時には症状は消失し,負荷心筋シンチグラフィーで術前認めていた虚血領域も消失した.