日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[成人心臓]
経食道エコープローブによる咽頭破裂をきたした大動脈弁位感染性心内膜炎の1例
山田 章貴顔 邦男辻本 貴紀藤末 淳麻田 達郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 48 巻 3 号 p. 189-192

詳細
抄録

症例は,中咽頭癌に対して7カ月前に化学放射線療法を施行された72歳,男性.3カ月前に脳梗塞を発症し,リハビリ療法中であった.1カ月前より腰痛にて歩行困難となり,化膿性脊椎炎と診断され抗生剤投与を受けていた.2週間前より呼吸苦が出現,高度の肺うっ血にて3日前より人工呼吸管理となった.大動脈弁位の疣贅および高度の大動脈弁閉鎖不全症が認められ,感染性心内膜炎の診断で緊急手術となった.胸骨正中切開すると,前縦隔心左側に経食道エコーのプローブが見られ咽頭破裂と診断された.縦隔内を十分に洗浄し,生体弁を用いた大動脈弁置換術を行った後,開腹し大網を採取した.ついで頸部手術に移り,梨状窩の穿孔部を直接閉鎖,前縦隔を通した大網で咽頭修復部位を被覆し,胸骨を一期的に閉鎖した.術後経過は比較的順調で,術後32日目に一般病棟へ転室した.術中経食道エコープローブによる,稀できわめて重篤な咽頭破裂の合併症を経験し,救命したので報告する.

著者関連情報
© 2019 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top