2019 年 48 巻 4 号 p. 281-285
症例は71歳,男性.胸部違和感の精査にてCT検査を施行され,左鎖骨下動脈近位部に突出長33 mmの嚢状瘤を指摘された.パーキンソン病,慢性心不全を合併し,開胸術は高侵襲と判断し,左鎖骨下動脈内へのステントグラフト内挿術を計画した.既存のデバイスでは左椎骨動脈分岐部の閉塞が避けられなかったため,Zenith® レッググラフトの遠位端のfabricを全周性に除去しBare stentとすることで,左椎骨動脈分岐部を閉塞しないように計画した.左腋窩動脈にconduitを作製しアクセスルートとし,左鎖骨下動脈内へステントグラフトを展開した.術後造影CTでは左鎖骨下動脈瘤内へのエンドリークは認めず,左椎骨動脈の順行性血流も温存された.