2019 年 48 巻 5 号 p. 299-304
[背景]当院では外来で10m歩行を計測し,開心術の適応あるいは術式選択の参考にしてきた.これを具体的に数値化する目的で,Barthel Index(以下,BI)を用いたADL評価を行い,退院時におけるADL低下の予測因子の検討を行った.[対象と方法]2014年6月から2017年12月末までに当院で待機的に開心術を施行した症例のうち,除外基準に該当しなかった131例を対象とした.退院時に術前よりもBIが低下していた13例に,術後6週間以上の長期入院した6例を加えた19例をADL低下群と定義した.対照群112例を対照群と定義し,この二群間を後ろ向きに比較し術後ADL低下の予測因子の検討を行った.[結果]術後ADL低下の独立した予測因子として,「10m歩行に7.04秒以上を要する」が同定された.