日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
全弓部置換術後遅発性に食道縦隔瘻,気管支縦隔瘻となり胸部外科チームで救命し得た1例
金澤 祐太山田 靖之柴崎 郁子緒方 孝治桒田 俊之小川 博永武井 祐介菅野 靖幸福田 宏嗣
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2019 年 48 巻 5 号 p. 351-355

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抄録

全弓部置換術後の稀な合併症として遠隔期食道瘻があるが,予後は不良である.今回食道縦隔瘻,気管支瘻を来し人工血管感染を起こしたが,救命し得た症例を経験したので報告する.症例は74歳男性.当科で胸部大動脈瘤に対し72歳時に全弓部置換を施行していた.嗄声を主訴に近医耳鼻科を受診した.左声帯麻痺を認め,胸部人工血管置換術後であったことから当科紹介受診した.精査目的にCTを施行したところ縦隔内にairを認めたため縦隔炎として入院加療とした.上部消化管内視鏡を施行し食道潰瘍を認め食道縦隔瘻の診断となった.抗生剤加療を行い入院第39病日に右開胸胸部食道亜全摘,食道瘻/胃瘻造設を施行した.人工血管感染に対し抗生剤加療を継続した.一度炎症反応も軽快傾向となり抗生剤を中止したが,第107病日に発熱,CT施行し再度縦隔内にairを認めた.気管支鏡検査にて左主気管支に気管支縦隔瘻を確認した.第110病日に左開胸再全弓部人工血管置換術,大網充填,左主気管支修復術を施行した.フォローのCTを第160病日に施行したところ,再度縦隔内にairを認めた.同日気管支鏡を施行し左主気管支の前回より末梢側に気管支縦隔瘻を確認した.第173病日に気管支縦隔瘻閉鎖術を施行した.その後の経過は良好で,第233病日に胸壁前経路空腸拳上再建にて食道再建を施行した.第244病日より食事を開始した.第250病日に軽快退院となった.

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