2019 年 48 巻 5 号 p. 356-360
77歳女性.意識障害,左片麻痺のため救急搬送された.造影CTで急性A型大動脈解離と右総頸動脈の閉塞を認めた.心電図所見で前胸部誘導のST上昇を認め,左冠動脈主幹部(LMT)に解離が進展し急性心筋梗塞を合併したと診断した.心筋虚血を解除するため手術に先行してLMTに対する経皮的冠動脈形成術(PCI)を行う方針とした.PCI後に上行置換術を行い救命した.本疾患のようなLMTのmalperfusionを合併した場合など,大動脈解離に合併した心筋虚血に対する迅速な虚血解除の方法として,PCIは有効な選択肢の1つとなりえると考える.