2019 年 48 巻 5 号 p. 365-370
49歳,男性.上肢血圧左右差により受診し,血管造影検査にて腕頭動脈高度狭窄による鎖骨下動脈盗血現象(subclavian steal Phenomenon: SSP)と診断した.また同時に冠動脈左主幹部90%狭窄による狭心症も診断された.今症例では左右内胸動脈が主要側副血行路の一部として機能していたため,その温存を図りつつ単純遮断での腕頭動脈人工血管置換術を行ったのちに左内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術を一期的オフポンプ手術にて施行し良好な結果を得た.側副血行路の血流構造とそれを踏まえ施行した術式に関して考察を加え報告する.