2019 年 48 巻 6 号 p. 383-386
症例は72歳男性.無症候性の冠動脈重症III枝病変 (#4PD : 90%,#6 : 90%,#11 : 75%) のため,当院へ紹介された.術前CT検査で,起始異常を伴った右鎖骨下動脈の99%狭窄,右総頸動脈起始部の90%狭窄,および左鎖骨下動脈起始部の75%狭窄を認めた.弓部3分枝狭窄に対する頸動脈ステント留置術 (CAS) での治療は困難であった.弓部4分枝中3分枝の狭窄を伴った重症III枝病変に対して,冠動脈バイパス術 (CABG) および弓部分枝再建を併施した弓部大動脈全置換術 (TAR) の同時手術を施行した.術後に脳合併症なく,経過は良好で12日目に独歩退院となった.