2020 年 49 巻 1 号 p. 35-37
症例は77歳男性.長男と口論の際,腹部を殴打された.その後,急激な腹痛を訴え,救急搬送された.造影CTで腹部大動脈瘤破裂および後腹膜血腫の所見を認めた.外傷性の腹部大動脈瘤破裂と診断,出血性ショックの状態であり,緊急手術を施行した.手術は腹部正中切開下にY型人工血管置換術を行い,術後経過は良好であった.鈍的外傷による腹部大動脈損傷の多くは自動車事故などの高エネルギー外傷に起因するが,腹部大動脈瘤を有する患者では,殴打などの比較的低エネルギーと考えられる外力によっても破裂の危険性があることを念頭に置く必要がある.