2020 年 49 巻 3 号 p. 119-122
僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対してMitraClipを施行された後,MitraClipのdetachによりsevere MRが再発し僧帽弁置換術を行った症例を経験した.症例は82歳女性.Severe MRに対してMitraClipを施行し,mild程度のMRに制御できていたが,術後1カ月に心不全症状を有するMRの再発を認め,心エコー上single leaflet device attachment(SLDA)を生じていた.心不全も再発したため,外科的僧帽弁置換術を行った.高度の円背であり胸骨正中切開での右側左房アプローチでは視野展開が難しく経中隔アプローチへ術中変更した.MitraClipは前尖A2と強固に癒合しており,MitraClipの除去は困難であり形成術は不可能と判断し,弁置換の方針とした.後尖にはMitraClipの痕を観察することができ,1~2 mm程度しか挟めていなかったと思われた.後尖は温存する形で,intra-annularに生体弁を縫着した.人工心肺のweaningは問題なく,術中経食道心エコーで弁形態に問題を認めなかった.術後経過は良好で,第14病日に退院となった.今回の症例により,MitraClip後にSLDAを合併した症例に対して弁形成は難しく,弁置換を行う必要があるため,MitraClipの適応には十分注意する必要がある.