2020 年 49 巻 4 号 p. 210-213
症例は62歳,男性,Marfan症候群.15年前に大動脈弁輪拡張症,大動脈弁閉鎖不全症,胸部大動脈瘤の診断で他院にてModified Bentall手術,上行弓部大動脈全置換術を施行した.その後外来で経過観察中に,CT検査にて左右冠動脈瘤とcomposite graft弁輪縫着部位に仮性動脈瘤を認め,手術目的で当院紹介となる.左右の冠動脈瘤壁は菲薄化し,基部に仮性瘤を認めた.人工弁を摘出し再大動脈基部置換術を施行,冠動脈は瘤を切除し直接再建した.Bentall原法では吻合部仮性動脈瘤の発生が問題であったが,Bentall変法となり手術成績は向上している.しかし,結合織異常を有する症例では術後合併症のリスクが高く,長期にわたる経過観察が必要である.