2020 年 49 巻 4 号 p. 222-227
症例は36歳男性で,既往手術として14歳時に心房中隔欠損直接閉鎖術,18歳時に僧帽弁置換術・三尖弁輪縫術がともに胸骨正中切開で施行された.27歳頃から下腿浮腫,うっ血肝が出現し,35歳頃から下腿浮腫が増悪し,血清総蛋白3.6 g/dl,血清アルブミン1.6 g/dlと低蛋白血症,低アルブミン血症も認め,精査が行われた.心臓カテーテル検査で右室圧曲線はdip and plateau型を呈し,CTで左室周囲主体に心膜の肥厚・石灰化を認めた.また,99mTcヒト血清アルブミンシンチグラフィーで横行結腸肝彎曲部に集積を認めた.以上から蛋白漏出性胃腸症を伴う収縮性心膜炎と診断され,手術適応となった.手術は左前側方開胸で体外循環非使用下に心膜剥皮術を施行した.術後は心不全コントロールにやや時間を要したが36病日に退院した.退院後,下腿浮腫は改善し,術後約3カ月で血清総蛋白7.1 g/dl,血清アルブミン4.2 g/dlと正常化した.