日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
心房中隔欠損症を合併した Scimitar 症候群の1成人例
小圷 徹中井 真尚内山 大輔川口 信司宮野 雄太山田 宗明寺井 恭彦後藤 新之介山﨑 文郎
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2020 年 49 巻 6 号 p. 330-334

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抄録

症例は34歳,女性.小児期より部分肺静脈還流異常症で経過観察されていたが,18歳以降は通院を自己中断していた.33歳時の健診で胸部異常陰影を指摘され,当院へ紹介受診となった.経胸壁心臓超音波検査で心房中隔欠損症(Atrial septal defect, ASD)を認め,造影CTでは右下肺静脈が下大静脈に還流しており,ASD合併Scimitar症候群と診断した.心臓カテーテル検査で肺体血流比(Qp/Qs)2.48,左右短絡率59.7%と上昇しており,手術加療を行った.右下肺静脈を右房側壁に吻合し,自己心膜で形成した右房内baffleによりASDを介して肺静脈血が左房に還流するよう血流転換を行った.術後2年が経過した現在でも吻合部狭窄を生じることなく,良好なbaffle内血流が維持されている.比較的稀な成人におけるASD合併Scimitar症候群の1例を経験したので報告する.

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