症例は70歳女性で,ファロー四徴症に対し,Blalock-Taussig shunt後に25歳で心内修復が行われた.術後45年で大動脈基部拡大に伴う大動脈弁逆流,肺動脈弁逆流による心不全を発症した.本例に対して大動脈弁置換,上行大動脈置換,肺動脈弁置換を行い良好な結果が得られた.ファロー四徴症術後の大動脈基部拡大や大動脈弁閉鎖不全に対し,明確な治療方針は定まっていない.Classic Blalock-Taussig shuntが姑息術として行われていた症例の高齢化に伴い,本例のように左心系と右心系の複合病変を有する症例の増加が予測される.大動脈基部拡大を伴う大動脈弁閉鎖不全に対して年齢や再手術例であることを考慮し,大動脈弁置換と上行大動脈置換を行うことは,適切な治療選択肢であると考えられた.