2022 年 51 巻 1 号 p. 44-47
症例は73歳の男性.胸部異常陰影で紹介となり,CTにて右側大動脈弓,左鎖骨下動脈起始異常を伴うKommerell憩室および嚢状弓部大動脈瘤を指摘された.自覚症状は認めなかったが,嚢状瘤の破裂リスクを考慮し,手術の方針とした.手術は胸骨正中切開でアプローチした.人工心肺下,open distalとして弓部大動脈を離断後,オープンステントグラフトを挿入し,4分枝管人工血管で弓部大動脈置換を行った.人工心肺を離脱後,左鎖骨下動脈のコイル塞栓を行い,エンドリークがないことを確認した.術後,右声帯麻痺による嗄声を認めたが,他に大きな合併症なく、術後30日目に自宅退院となった.