2022 年 51 巻 3 号 p. 133-137
症例は日齢0日女児.生後チアノーゼで総肺静脈還流異常症が疑われ当院に転院.来院後肺静脈狭窄を認め緊急手術の方針.術前CTで肺静脈は左右別々にそれぞれ左右の上大静脈に異常還流した.左上大静脈が冠静脈洞に還流しているため,冠静脈洞は大きく拡大しており,左房径は小さかった.新生児期に右肺静脈を右房へ,左肺静脈はunroof化した冠静脈洞にそれぞれ吻合した.その後体格の成長を待ち,生後4カ月で右肺静脈のreroutingと左上大静脈の心外結紮での二期的心内修復術を行った.術後経過は良好であった.左上大静脈遺残を有し拡大した冠静脈洞を持つ総肺静脈還流異常症(Ib+Ib)に対して二期的手術での心内修復は有用であった.