日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[先天性疾患]
左上大静脈遺残を有し拡大した冠静脈洞をもつ総肺静脈還流異常症(Ib+Ib)に対して二期的に心内修復術を施行した1例
桑原 優大和田 直樹川村 貴之古谷 翼小森 悠矢加部東 直広高橋 幸宏
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 51 巻 3 号 p. 133-137

詳細
抄録

症例は日齢0日女児.生後チアノーゼで総肺静脈還流異常症が疑われ当院に転院.来院後肺静脈狭窄を認め緊急手術の方針.術前CTで肺静脈は左右別々にそれぞれ左右の上大静脈に異常還流した.左上大静脈が冠静脈洞に還流しているため,冠静脈洞は大きく拡大しており,左房径は小さかった.新生児期に右肺静脈を右房へ,左肺静脈はunroof化した冠静脈洞にそれぞれ吻合した.その後体格の成長を待ち,生後4カ月で右肺静脈のreroutingと左上大静脈の心外結紮での二期的心内修復術を行った.術後経過は良好であった.左上大静脈遺残を有し拡大した冠静脈洞を持つ総肺静脈還流異常症(Ib+Ib)に対して二期的手術での心内修復は有用であった.

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top