日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に対し冠動脈バイパス術を施行した1例
長塚 大毅郡司 裕介加賀谷 英生服部 滋野口 権一郎片山 郁雄
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2022 年 51 巻 3 号 p. 151-156

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抄録

症例は45歳,男性.好酸球多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis : EGPA)に合併した左前下行枝近位部の冠動脈瘤(19 mm)を認めた.CAGでは#6 : 100%,#12-2 : 90%であり,Tc-99 m心筋シンチグラフィにて前壁中隔の虚血誘発を認めたため血行再建術の適応と判断した.好酸球数が9,221/μlと高値であり,好酸球浸潤による血管炎の活動性を抑えるため術前にプレドニゾロンおよびヒト化抗IL-5モノクロナール抗体薬であるメポリズマブを投与し,好酸球数が正常化した段階で手術を行った.オフポンプ冠動脈バイパス術(LITA-LAD, SVG-OM2)を施行し良好な経過で退院した.EGPAに対する冠動脈バイパス術では,内胸動脈に好酸球が浸潤し血管炎を呈していることがあり,開存率に影響する可能性があるため,術前に血管炎の活動性を抑制しておくことが重要と考えられた.

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