2023 年 52 巻 1 号 p. 62-66
Shaggy aortaを呈する大動脈瘤手術では,塞栓症を回避する手術戦略が重要である.症例は75歳男性.最大短径60 mmの下行大動脈瘤を認め,遠位弓部大動脈から腹部大動脈にかけてshaggy aortaを呈しており,主要分枝血管保護下でのTEVARの方針とした.手術では左鎖骨下動脈と左総腸骨動脈入口部をバルーン(OPTIMO PPI)で閉鎖し,上腸間膜動脈入口部にフィルター(Filtrap)を留置し,右総腸骨動脈入口部まで22 Frのシース(ドライシール)を留置して塞栓症を予防した上で,Gore C-TAGを留置した.術後脳梗塞や,腸管・腎・下肢塞栓症,脊髄虚血症状などの合併症を認めず,8日目に自宅退院した.Shaggy aortaを呈する胸部下行大動脈瘤に対するTEVARにおいて,主要分枝血管へのバルーン閉鎖やフィルター留置は,塞栓症予防に有効であると考えられた.