2023 年 52 巻 3 号 p. 172-175
感染性胸部大動脈瘤は稀な疾患である.内科的治療から手術施行のタイミング,手術術式の選択についてはいまだ標準的治療法が確立されておらず,手術治療を行っても感染のコントロールがつかず致命的な病態を呈することも多い.今回われわれは感染性胸部仮性動脈瘤に対して人工材料を使用しないことを目的とし,自己浅大腿動脈を使用して上行大動脈再建を行い良好な経過を得た1例を経験した.症例は78歳の男性でStaphylococcus aureusによる菌血症,感染性胸部仮性動脈瘤を呈していた.これに対して12cmの自己浅大腿動脈を帯状に切開しロール状にtube graftとして形成し上行大動脈置換術と冠動脈バイパス術を施行した.患者は感染の再燃なく経過し,大動脈再建部の異常も認めず経過良好にて退院した.