日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告[大血管]
SB-tube, TEVARで救命した進行食道癌による大動脈食道瘻の1例
音琴 真也大塚 裕之姉川 朋行財満 康之古野 哲慎新谷 悠介中村 英司庄嶋 賢弘髙瀬 谷徹田山 栄基
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2023 年 52 巻 3 号 p. 176-180

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抄録

症例は71歳の男性.切除不能食道癌に対して化学放射線療法(chemoradiotherapy: CRTx)施行後,経過観察中に突然の吐血を認めた.造影CTにて,下行大動脈から食道への造影剤の漏出を認め,大動脈食道瘻(aortoesophageal fistula: AEF)と診断し,緊急胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair: TEVAR)を予定したが,手術準備中に大量吐血し心肺停止となった.心肺蘇生開始後,経鼻的にSengstaken-Blakemore tube(SB-tube)を挿入し,出血のコントロールを行い,TEVARを施行して救命した.術後胃瘻造設は必要となったが合併症なく32日目に転院となった.しかし癌の進行とともに全身状態も増悪し,術後103日目に死亡した.一般的に切除不能食道癌に対するCRTxで,食道穿孔・穿通の発症リスクは10~20%と報告されており,そのなかでもAEFは致死的な合併症である.近年では長期予後に関して課題はあるものの,TEVARによる救命症例が報告されており,本症例は迅速な対応でSB-tube挿入,TEVARを施行し自宅退院後,約3カ月の延命が可能であった.

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