2024 年 53 巻 1 号 p. 25-28
症例は65歳男性.手術適応のある大動脈弁狭窄症の診断で手術目的に当科紹介となった.大動脈弁置換術を計画し,患者本人が生体弁を希望した.術中所見で大動脈弁輪径19 mm.患者–人工弁ミスマッチを防ぎ,将来valve-in-valveを行う上で必要十分な大きさの内巻き弁を植え込むため,Bo Yang法による弁輪拡大術を併施した大動脈弁置換術(Inspiris 25 mm)を行った.術後経過は良好.術後の基部形状評価のため3DCTを行った.人工弁は大動脈基部に対してズレや傾きなく自然な形状で植え込まれ,Valsalva洞も十分拡大していた.Bo Yang法による弁輪拡大術+大動脈弁置換術は,大動脈弁に介入が必要な患者のライフタイムマネージメントを意識した治療戦略を検討する上で,有用な選択肢になると思われた.